フラトレス『二階建ての家』公演前インタビュー 宮田 直人さん 

来月の第3回公演『二階建ての家』に向けて活動中の
ジャグリング・ユニット・フラトレスの代表、宮田直人さんに
公演への意気込みやこれまでの思いをうかがってきました。

※ジャグリング・ユニット・フラトレス(以下フラトレスと表記)・・・2014年7月、関西で活動するジャグラーを中心に結成された団体。「室内(=劇場)にて、ジャグリングを中心とし、他の舞台芸術とのアンサンブルを行う」という活動方針のもとジャグリングの公演では珍しい「言葉のあるジャグリングの舞台」をおこなう。

宮田さんは、フラトレスを主催されている他にも、現在京都でロングラン公演を行っている『ギア-GEAR-』に出演されていたり、日本を代表するジャグリングの大会であるJJF(Japan Juggling Festival)へも出場された、関西を代表するジャグラーさんです。

※Japan Juggling Festival ・・・年に一度開かれる一大イベント、ジャグリング日本一を決めるチャンピオンシップが開かれている。
ギア-GEAR-・・・京都で丸5年を越えるロングラン公演を行っている舞台。光や映像と連動したマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングなどによる迫力のパフォーマンスで感動のストーリーを描く。100席限定の劇場で2017年4月には観客動員数13万人を突破した。 

フラトレスを立ち上げたきっかけ


ヒロ:
今日はよろしくお願いします!『二階建ての家』のことをズバリうかがう前に、
どうしてフラトレスをやろうと思ったのですか?

宮田
演劇にジャグリングを入れる時にたくさんの形があると思ったのがきっかけかな

宮田:理由はたくさんあって話し始めるとキリがないけど、まず僕が演劇をやっていて、その後ジャグリングサークルに入ったことが大きいね。
ジャグリングが入っている演劇はいくつか観たことがあったけど、僕はジャグリングが全然生かされていないと思ったんだ。これはジャグリングを入れる必要があるのか、と。
ジャグリングを舞台でやる時には、パフォーマンスという形で入れることが多くなるけど、それだけじゃなくて、僕はもっとたくさんの形があると思う。

ヒロ:例えばどんなものがありますか?

宮田
モノを扱う知識が多い者としてジャグラーに舞台に立ってもらうとか?
宮田:別の例えになっちゃうかもしれないけど、ダンスをできる人が必ずしも舞台上でダンスをするわけじゃないと。彼らは単純に体のキレが良いから、ダンスをしなくてもそのキレは舞台上で生きると僕は思っている。それと同じで、ジャグラーはモノを扱う知識が多い者として、ジャグリングを単なるスキルの一つとして、舞台公演を作ればいいんじゃないかなと思う。

ヒロ:いわゆるジャグリングっぽいジャグリングを見せるわけではない・・・ですか。

宮田:そう、例えば演劇をつくる人のイメージするジャグリングって、「ボールを沢山投げればすごいよね」みたいな、パフォーマンスっぽいものが多いかな。せっかく演劇中ならではのジャグリングができるのに、それじゃもったいない気がするんだよね。

 

ヒロ:演劇を観てそう思ってきたことがフラトレスを始めるきっかけの1つだったわけですね。他にも理由はあるんでしょうか。

宮田
照明や音響のことが分かっている人にジャグリングのことを伝えて一緒に公演を作っていきたい。そんな環境を作りたかった。
宮田:ジャグラーが公演を作ると時に裏方仕事に慣れていなくて、そのスタッフワークの底上げをしたいと思ってたかな。ジャグラーだけで公演を行うには、基礎知識みたいなのがまだ全然足りない。音響とか照明とか。

ヒロ:裏方さんのスキルってやっぱり必要ですよね。

宮田:そう。そういうのをジャグラーがやるんじゃなくて、音響とか照明とかのことが分かっている人にやってもらえると良いと思う。そうなった時に、ジャグラー向けに特有の照明が必要とされるけど、照明さんはそれが初めてだから分からない。
照明を把握している人にジャグリングのことを伝えて、公演を一緒に作る過程で僕たちジャグラーのことも知ってもらう。フラトレスではそうしていきたいかな。

 

3年目に突入するフラトレス


ヒロ:
話は変わりますが、フラトレスは “言葉を使う舞台” というイメージがあります。

宮田
演劇とジャグリングの融合、ってよく言われるけど、僕は融合したいわけではなくて、言葉を使うジャグリングをやりたかっただけ
宮田:よく演劇とジャグリングの融合、って言われるんだけど、僕は融合したいわけではなくて、言葉を使うジャグリングをやりたかっただけなんだよね。言葉を使う芸術系の何かで、自分が一番よく知っているのが演劇だったから、演劇をやっているわけで。言葉を使うには朗読でもいいし、落語でもいいんだけど、今はただそれが演劇っていうだけ。

ヒロ:もし演劇以外ものが得意だったら全く別の可能性もあり得ると。

宮田:そうそうそう。

ヒロ:いつか宮田さんを寄席で見られるかもしれない?(笑)

宮田:可能性はゼロではないね(笑)

ヒロ:少し変な質問かもしれませんが、“言葉を使う”、“演劇”、“舞台”とは同じではないんでしょうか?

宮田:同じじゃないね。演劇だけじゃなくて音楽ライブや歌舞伎だって舞台だから。演劇の中にも無声劇というのがあって、そこでは言葉は使われない。演劇にも新劇とか抽象劇とかたくさんの分野あるけど、そこは混ぜてはいけないと思う。
フラトレスも「演劇とジャグリングの融合」って言われるけど、それは新劇ではないし、エンタメでもないかな。

ヒロ:そう考えると、演劇と混ぜてるっていうのはちょっと違いますよね。
この3年間で挑戦したことや失敗したことはありますか?

宮田:挑戦って言えるのか分からないけど、舞台公演の形態自体がちょっと挑戦的かな。

ヒロ:形態って言いますと?

宮田
客演とか再演とか、演劇の世界で当たり前にされていることが、ジャグリング界でも増えてほしい
宮田:客演とか再演とか、そういう演劇の世界で当たり前にされていることが、ジャグリング界ではまだあまりされていなくて、そういうことが普通になったら良いなって思う。僕たちも『コトリが歌う』で初めて再演をやったけど、同じ脚本を別の演出でやるようなことがもっと増えてほしいかな。

ヒロ:失敗についてはいかがですか?

宮田
失敗というよりかは、成功に至っていないということが多いかな。
例えば複数人演目とか。
宮田:数えるときりがないけど、失敗というよりかは、成功に至っていないということが多いかな。ここまでいきたいという目標はあるけど、その8割とか6割とかで止まっていることがあって、難しいね。

例えば複数人演目とか。ジャグラーはソリストが多いから作るのに苦労したかな。そういえば研究者っぽい人も多いよね。

ヒロ:確かにジャグラーは高学歴な理系男子が多いですね。

宮田:そもそもジャグリングをやりたがる人にそういう性格の人が多いのかな。
例えば、茶道をする人にはハイテンションな人が少なくて大人しい人が多い、ダンサーにははっちゃける人が多い、そんな気がする。ジャンルによって何か特徴があるよね。

ヒロ:確かに、ジャグリングって一人でもできますし、新しい技を黙々と練習する人が上手くなって評価されるからですかね。

宮田:チームとかもっとアクティブなことをやりたい人は、サッカーとかするのかな?

 

メッセージ


ヒロ:
今のジャグラーに、何か伝えたいことがあればお聞かせいただけますか?

宮田
自由な中で楽しんでほしい。
ただ練習するだけの人もいればいいし、ちょっとコミュニティ広げたい人もいていい。あえてどれが正解かって縛らなくて良いと思う。
宮田:ジャグラーは大会に出るべきだ、みたいな話あるよね。僕も正直、昔は “ジャグリングやってるんだから人前に出ようよ” みたいな考えがあったけど、今は “そうじゃないな” って強く思うようになった。

自由な中で楽しんでほしい。ただ練習するだけの人もいればいいし、人前に出たい人もいていいし、大会で凄い技を披露したい人もいていいし、ちょっとコミュニティ広げたい人もいていいし、それをあえてどれが正解かって縛らなくて良いと思う。

例えば、「自分は大会目指すんだ」っていう人はいて良いんだけど、他の人もそうとは限らない。いろんな人の価値観を踏まえた上で、やりたいことをやれば良いと思うな。

ヒロ:そんな風に思うように変わったきっかけとかってあったりしますか?

宮田:外に出た時に失敗したことかな。フラトレスをやるにあたって、もう一度舞台とか演劇系のことをやり直そうと思って外に出たんだけど、団体を良い方向に引っ張れなかったことが何度かあって。みんな成功を目指しているけどそのための方法は1つじゃないんだよね。
目指すものが同じでも、それぞれの価値観は違うということを身を持って体験したよ。

ヒロ:舞台創作をするジャグラーに向けてアドバイスしたいことはありますか?

宮田
ジャグラーだけで何とかしようと思わず、分からないことは演劇畑の人を頼れば良いと思うよ。一緒になって舞台公演を作っていってほしい。
宮田:自分たちだけで何とかしようと思わないでほしい。ジャグラーだけで何とかしようとすると、裏方のことが分からないから難しくなってしまう。

ジャグラーは大道芸をやっていて、音響とか編集作業を自前で用意するよね。舞台公演でもなんとか自分で音響とかを用意しようとがんばる。いいことだとは思うけど、それってすごく大変だし、出来上がる舞台公演のクオリティーを考えると正解とは言えないよね。
分からないことはジャグラーというコミュニティーに縛られず、演劇畑の人を頼れば良いと思うよ。一緒になって舞台公演を作っていってほしい。

あと、温度間の近い人とやるのが大事だと思う。じゃないとちょっとしんどいし。
大学の時にサークルの公演があって、そこで一番何に苦労したかって言うと熱量だった。僕は結構頑張りたかったんだけど、みんなは別にジャグリング公演やるためにサークルに入ったわけじゃなかった。そこの温度差に苦労したかな。

でもそれは仕方ないと思う。熱量が高いのが大事っていうわけではなくて、同じくらいだったら良いと思う。
熱量が低い人同士でやればちゃんと上手くいくと思うし、誰しもがプロを目指してやる必要もないと思う。お金とらずにとりあえず公演を打ってみたいっていう人もいるだろうし、そういうときに無理をしすぎないっていうのは一つ、良いんじゃないかな。

 

次回公演、『二階建ての家』

ヒロ:7月に公演される舞台『二階建ての家』の見どころを教えてもらえますか?

宮田
フラトレスっぽいと思ってもらえると嬉しい
宮田:複数人演技がいつにも増して多いことかな。あまり言うとネタバレになっちゃうから言えないんだけど、冒頭のシーンは結構頑張ったかな。

ヒロ:複数人演技はフラトレスの十八番ですもんね。脚本の方はどんな感じですか?

宮田:脚本はいつも根暗って言われるんだけど(笑)
僕は基本的に優しいのが好きで、今までのはなんやかんや優しかったと思う。だけど、今回はいつもより尖った作品になっていて、例えばちょっと言葉遣いがキツイところがあるかな。あと、ジャグリングの公演っぽくないかもしれない。

ヒロ:ジャグリングの公演っぽくない、ですか?

宮田:ダンスを扱う公演が、全て“ダンスっぽい公演”という印象を与える必要がないのと同じで、ジャグリング公演でこれはジャグリングなのかどうかっていう、そういうところは求めなくても良いと思う。
そういう意味でお客さんにフラトレスっぽいと思ってもらえると嬉しいな。

 

ヒロ:是非今回も多くの方に観に来ていただけると良いですね!本日はありがとうございました。

 

 

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